・フンメル:歌劇『ギーズ家のマティルド』全曲
クリスティーネ・ガイリテ(ソプラノ)
フィリップ・ドゥ(テノール)
ピエール=イヴ・プリュヴォ(バリトン)
ヒョルディス・テボー(ソプラノ)
オンドレイ・シャリング(テノール)
マリアン・オルシェフスキ(テノール)、他
ソラメンテ・ナチュラリ/ディディア・タルパイン(指揮)
このCDは、2008年、2009年にヨーロッパで復刻演奏された際のメンバーにてスタジオ録音されたものです。
録音は優秀で、弦が少なめのバランスですが、速いテンポで溌剌とした演奏を聞かせてくれます。
歌手陣も優秀、主人公の2人はガイリテ(ソプラノ)、ドゥ(テノール)は若々しくみずみずしい歌声をきかせてくれ、このCDが「とりあえず珍しい作品を録音してみました。演奏はニの次です」というものではなく、しっかり聞ける作品になっているところが良いです。
台詞はカットされており、音楽部分のみの収録ですが、初版の別バージョンの序曲と、間奏曲も収録されているので貴重です。
作品は初めて聞きましたが、合唱曲が多く、しかもサリエリの円熟期の作品の影響が大きいのがすぐわかります。アリアに関しては面白く聞けるのですが、モーツァルトほど優美なメロディー、官能性といったものはないです。しかし、後宮からの誘拐や魔笛ばりのコロラトゥーラアリアもあり、楽しく聞けます。全体的にティンパニが多用されていて、派手目の曲が多いです。
強引に例えると、モーツァルトの「ツァイーデ」「カイロの鵞鳥」といった未完成作品を聞いているかんじ? これには異論あるでしょうが、あくまでも一回全体を通して聞いた個人的な感想です。
とにかく初のフンメルのオペラ作品録音。拍手です。
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