久々にCDの紹介です。この記事は先にFacebookやAmebaの方でアップしていましたが、焼き直しとなります。

昨年11月にクロンマーの交響曲集第2集がリリースされていました。
交響曲第4番、第5番、第7番です。


第1集については過去に紹介しております。
クロンマーの交響曲集

クラシックの作曲家:Franz Krommer(フランツ・クロンマー)の正しい氏名は、フランティシェク・ヴィンツェンツ・クラマーシュ(František Vincenc Kramař)です。 クラマーシュは一般的にはドイツ名で フランツ・クロンマー と表記されていますので、ここでもクロンマーと表記します。

クロンマーは「モーツァルトと同年代のウイーン古典派の作曲家です」。

クロンマーは、モーツァルトが生まれた三年後の1759年ボヘミア生まれ、親戚にヴァイオリンと作曲の手ほどきを受け、ハンガリーで活躍していました。
1785年にウィーンに行き、シュテュルム伯爵の宮廷に仕えていたのでモーツァルトやハイドンと交流があったものと思われます。
1790年から1795年までハンガリーに戻り、ペーチ大聖堂の教会楽長に就任。その後はカーロイ連隊楽師長やグラサルコヴィチ侯の宮廷楽長を歴任。
1810年からは、『後宮からの誘拐』、『フィガロの結婚』、『コジ・ファン・トゥッテ』、ベートーヴェンの交響曲第1番の初演会場が行われたことで有名な「ウィーン・ブルク劇場」の楽長を務め、1818年にウイーン皇室専属作曲家となりました。

1810年前後というと、40歳代のベートーヴェンは既に6番までの交響曲を発表し、ピアノ協奏曲全5曲完成、発表された後のこと。押しも押されぬ巨匠としてヨーロッパ中に名を轟かせていました。

我らがフンメルはエステルハージ宮廷の楽長の職を辞し、再びウィーンに戻ったのが1811年。それでも今知られるようなピアノ演奏のヴァルトォーゾではなく、ピアノの公演も行っていない。おもな作品はピアノ曲、室内楽曲、劇音楽の作曲家として大いに活躍していた時期です。そして1818年は有名なピアノ協奏曲イ短調やロ短調が出版されていますので、作曲家から熱狂されたピアノヴァルトォーゾになっていく時代とクロンマーが皇室専属作曲家となる時期がリンクしています。

【再】クロンマーの作品はハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンの影に隠れてしまって存在自体すらも忘れられてしまいましたが、20世紀後半から再発見され、管楽器のための協奏曲や管楽合奏曲などの録音が増えていきました。最近は特に録音が多くなってきています。 作品や生涯についてはまだ研究途中らしいですが、1831年に亡くなるまで300曲以上の作品を残し、そのうち100曲以上の弦楽四重奏曲、13曲の弦楽三重奏曲、30曲の弦楽五重奏曲、ヴァイオリン協奏曲、オーボエ協奏曲、クラリネット協奏曲などが10曲あまり、7つの交響曲に管楽器のためのパルティータ、ミサ曲などの宗教曲があるとされます。 

クロンマーの交響曲録音は珍しく、1990年代後半から2000年代初頭にシリーズ化されたCHANDOSのバーメルト/ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによる「モーツァルトと同時代の音楽」の1企画としてとして「交響曲第2番、第4番」が聴けましたが、初めて聞いたときからドン・ジョヴァンニ序曲のような序奏、ハイドン交響曲のような第二楽章など聴きごたえありましたし、第4番などのオーケーストレーションは見事で、お気に入りの一枚でした。


今回紹介するのはCPOレーベルからリリースされている交響曲第1集(1番〜3番)に続く、第2集(4番、5番、7番)です。 6番だけ無いのですが、クロンマーの交響曲を買おうと思うマニアックな人間が世界に何人いるだろうか?と考えると、赤字覚悟で録音してリリースしたcpoには拍手です。

【再】個人的にクロンマーの交響曲や協奏曲は、モーツァルト的な管弦楽手法とハイドン的なテーマや展開が見受けられ、同時代の作曲家の中では「もっとも好きな作曲家のひとり」です。 フンメルは交響曲を書きませんでしたが、彼の管弦楽序曲などと似ている雰囲気を持つ第一楽章、ハイドン的な全管弦楽で演奏される元気な第二楽章、モーツァルト的でありウイーン的である舞曲の第三楽章、たまに見え隠れするベートーヴェンの第1交響曲的な部分....などなど、古典派好きの方なら気に入ること請け負います。 


さて、ハワード・グリフィスの指揮によるスイス・イタリア語放送管弦楽団の演奏なのですが、4番と7番の短調作品は疾風怒涛そのものの激しい表現で、アクセントが強めで弾むようなリズムを刻んでいきます。どちらも2管編成にトロンボーンを加えた古典派では最大のオーケストラ編成で、実にドラマチックな展開の楽曲です。第二楽章が優美・優雅とかではなく、金管打楽器が鳴り響く情熱的な楽曲なのは、クロンマーのどの交響曲にも共通していて、モーツァルトよりはハイドン、ベートーヴェン的でありますね。クラリネットなどの協奏曲に見られるイタリア的な流れるようなメロディーが特徴的な優雅な楽曲とは違い、交響曲は全体を通して「情熱的」です。

第5番の冒頭の序奏を最初に聞いたとき感じたのは、
「モーツァルトの交響曲第39番の冒頭とソックリ」

ということです。曲は違うんですが、これは明らかにモーツァルトの影響というか模倣というか、はっきり認識できます。変ホ長調という調性も第39番と同じですが、ffの全和音ファンファーレにティンパニの連打は、第39番を聞いているのか?と思うほどです。

演奏は全体を通して第1集の3曲にも感じましたが、テンポは常に速いです。同じ第4番をバーメルト盤と比較しても、演奏時間で4分半違います。
今回のリリースで第1集とあわせるとクロンマーが残した交響曲全7曲のうち、第6番以外はすべて聞けることになったということです。

こんなこと、音楽教室に肖像の飾ってある主流作曲家から逸れた作曲家を求め始めた高校生時代、クラシックのLPを輸入版ショップでチマチマ捜し求めていた頃からは想像もできなかったことです。
*当時は「スマホ」が生活に溶け込むような時代も微塵も想像できていませんが(~_~;)

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