日本フンメル協会・会長の岳本恭治さん自身によるピアノ、ヴァイオリン:佐野隆さん、チェロ:ジェフリー・ポール・パドリックさんの演奏で、フンメルのピアノ三重奏曲全曲演奏会の最終シリーズです。
演目は、
- ピアノ三重奏曲 第3番ト長調,Op.35
- ピアノ三重奏曲 第4番ト長調,Op.65
- ピアノ三重奏曲 第6番変ホ長調,Op.93
です。
※私の作品目録上では作曲通番で番号振っていますので、ト長調,Op.35は第4番、変ホ長調,Op.93は第7番としています。
フンメルは基本的にウイーン古典派だと考えておりますが、モーツァルトから受け継いだテーマの設定、旋律の性格、陰陽にうつろぐ展開に、クレメンティーから受け継いだ技巧的ピアニズム、ショパンへと受け継がれていく装飾技巧などが混じり合い、演奏者はそうとう大変であろうと思われます。
リストのように「これはすごいテクニックの曲だよ」というのを全面に押し出してこない楽曲が多いけど、古典派的にしっかりしたテンポのなかで、派手さはないけど高度な演奏テクニックを求められます。
要するに古典派の難しさとロマン派の難しさが合わさったピアノ技巧が多い、ということ。
要するに古典派の難しさとロマン派の難しさが合わさったピアノ技巧が多い、ということ。
岳本会長はクールな表情で演奏していましたが、顔には出していないものの、そうとう大変だったのでは? と思います。
生で聞くとやはり違いますね。
何がというと、CD等でこれらの三重奏曲を聴いていると、ヴァイオリンもチェロもオマケかなと思うほどあまりでしゃばってきません。
何がというと、CD等でこれらの三重奏曲を聴いていると、ヴァイオリンもチェロもオマケかなと思うほどあまりでしゃばってきません。
しかし、今回の演奏ではピアノからチェロへ、ヴィイオリンへと引き継がれていくパッセージや、メロディーを支える伴奏の楽器間の移り変わりをしっかり感じましたし、CDであまり意識していなかった(聞こえていなかった)伴奏している楽器の「円熟した」動きを感じられ、ピアノの脇役だったはずの弦のメロディーの入りの美しさが際立ってました。
三曲とも第二楽章が落ち着いたロマンスであり、フィナーレはテンポが速く、気持ちが高揚するロンドで締めくくられています。どの曲にも対位法的旋律や展開が取り入れられていて、同じ楽曲の中で性格が二転三転していきます。
難しくも美しい、そして楽しい三曲を一晩で演奏するのは大変だっただろうなと思います。
岳本会長は、「日本で協会設立の際の約束だから自ら演奏者となりました。今回だけ」とおっしゃっておられましたが、そう言わず、次回は七重奏曲や五重奏曲のピアノもお願いします(笑)
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