フンメル研究ノート〜Review〜

ヨハン・ネポムク・フンメル(Johann Nepomuk Hummel)の個人研究サイトのレビューページ。CD紹介をはじめ、フンメル関連ニュース等を紹介していきます。 ●フンメル研究ノート●http://hummelnote.wix.com/hummelnote

2012年08月

本日はゲーテの誕生日

486px-Goethe_%28Stieler_1828%29ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)
(1749年8月28日 - 1832年3月22日)

ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。

フンメルとはワイマールで交流し、共にこの地方都市を芸術の都としての地位にまで高めるべく活動をした。


 フンメルのワイマール時代は快適で実り豊かなものでありました。生活面の不安もなく、演奏旅行の機会も与えられ、比較的自由に休暇も取れたのです。

 
 何しろこの街にはゲーテがいました。彼を通じて知識階級の代表的な人物たちと知り合い、まもなくワイマールを訪れる人々の「目的そのもの」となりました。

「ゲーテと会い、フンメルの演奏を聴かずには、この町の訪問は完全なものにならない」


と言われていたそうです。

 フンメルの主な職務は宮廷劇場で指揮することでしたが、その他の職務は極めて多忙であったようです。年ごとの年金募金演奏会、祝賀会、公爵家の人々やゲーテなどの地元の名士敬意を表した特別演奏会、来訪音楽家の演奏会(1829年のパガニーニがその例の代表で、招聘・準備、演奏会運営までこなした)、さらに内輪のパーティーなどを主催し、指揮に当たったといいます。


 ゲーテのワイマールでの活動は、エッカーマンが生前のゲーテとの対話を記した『ゲーテとの対話』(邦訳では 岩波文庫 より山下 肇 の翻訳で上下巻にて手に入れることができます)がよく判ります。ゲーテの格言も沢山含まれていて、読み物としても大変面白く、また当時のゲーテの活動も良く理解できます。




 以前もこのブログで紹介しましたが、フンメルは、ゲーテとの交流の中で多くの未出版作品(プライベート楽曲)をゲーテに聞かせ、また献呈しています。

 それらの多くはカンタータで、代表的なものとしては〜
S.158 ◇ゲーテの誕生日用合唱曲「今日、気高き仲間に」 1822 Heute lasst in edlen Kreis (T, B, SATB)
S.173 ◇ゲーテの誕生日用独唱曲「陽気な日は」 1827 Kehrt der frohe Tag (独唱、声)
S.177 ◇ゲーテの誕生日用歌曲 変ロ長調 1829 歌詞欠
S.180 ◇ゲーテの誕生日用独唱曲「私たちは陽気に登る」 1829 Wir steigen frohlich (独唱、声) *消失
S.187 ◇ゲーテの在ワイマール50年祭用独唱曲「歌声をあげよ」 1825 Herauf Gesang (独唱、声) *消失
S.195 ◇ゲーテの誕生日用歌曲「夢は快く甘かった」 1831 *未完 Lieblich war der Traum
などでしょうか。

 また、ゲーテのリクエストに応えて、モーツァルトの交響曲を室内楽用に編曲したり、ピアノソロ用に編曲して演奏もしたそうです。


 フンメルの歌曲において、ゲーテの詩を使用している曲もあります。
「Zur Logenfeier  Lasst fahren hin das Allzufluchtige」は、ゲーテの詩によるフンメルのリートです。


 ゲーテはフンメルの事を、「現代における最高のピアニスト」と称し、当時数多く現れたピアニストや、ゲーテの前で演奏したピアニストを評する時に、フンメルと比較して論じたりしています。


 ゲーテにとっての最高の芸術家(作曲家)は生涯通してモーツァルトではありましたが....


  祝 ゲーテ生誕263年!

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珍味なソナタ シュポア唯一の「ピアノソナタ」

LouisSpohrこんな曲が聞けるとは。

ハイペリオンというレーベルは、カルクブレンナー、モシェレス、ヒラー、ヘルツ、クラーマーのピアノ協奏曲の一連の録音など、私個人にとっては最も重要なレーベルの一つですが、今回、とっても珍しい楽曲をリリースしてくれました。

作曲家はマイナーな中ではメジャーな(どっちなんだ?)ルイ・シュポア。何が珍しいかというと、彼の唯一のピアノソナタがリリースされたこと

演奏はフンメルの協奏曲シリーズやハイペリオンの初期ロマン派の協奏曲シリーズでおなじみのハワード・シェリー。シェリーは最近シュボアの録音に力を入れていて、指揮者としてシュポアの交響曲全集を完成させたりもしていたが、本来のピアニストとして、今回の「珍味」ともいえるソナタを録音した。


シュポアといえば、私個人の中では古典派〜ロマン派の時代を長きにわたって活躍したドイツの重要な作曲家で、演奏家としてはヴァイオリンの名手として当時のパガニーニと争うほどの腕前の持ち主。

モーツァルトを尊敬し、ベートーヴェンやウェーバー、フンメルといった当時の大音楽との交流も盛ん、後輩の育成にも寛大かつ積極的に取り組んだ「真面目なお人」という感じです。

曲としては、古典派の形式から出発しているもののその作風やメロディーや展開手法には独自の物があり、非常に個性の強い音楽を書いている印象がある。半音階の駆使(数多くの室内楽や管弦楽曲)、混とんとした無調音楽っぽい雰囲気(交響曲第4番)、新たな形式への挑戦(ヴァイオリン協奏曲第8番)など、私の中では「挑戦者」であり、「前衛的作曲家」なのである。

ただ、何故同時代人のベートーヴェンやウェーバー、シューベルトのように「音楽室の肖像画」に組み込まれるほどに有名ではないのか? というと、それはやはり現代人から見ての大衆性の欠如、つまりは「大ヒット曲がない」という事なのかと思います。

覚えやすいメロディーもあります。美しいメロディーもあります。

でも彼の音楽に感じているのは、「いい曲だなぁ、でも何か足りない」なのです。

私の一番好きな曲は「ヴァイオリン協奏曲第7番」です。これこそシュポア! という混とんとした前奏に始まり、美しい主題の中で技巧的なヴァイオリンソロが歌う第一楽章、優美で映画のバックになりそうにロマンチックな第二楽章、やや民族的雰囲気をもつウイーン風舞曲の第三楽章。。。

この曲に物足りなさは感じていないです。個人的にはパガニーニの1番、チャイコフスキー、メンデルスゾーンと並んで4大ヴァイオリン協奏曲です(ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が入らないのは個人的嗜好です)。

でもこれ以外は、

「おっこれから盛り上がって〜〜

バーン!!!
って..... 


      来ない....」


という感じで、スカされてしまいます(笑)

それでもとても魅力的な楽曲が多いので、ここ20年くらいでかなりの作品が紹介されてきました。

でも、シュポアの当時の位置づけがいまいち解らないのである批評を紹介します。

「メンデルスゾーンが亡くなった今、シュポーアこそが現代最高の作曲家であり、対抗馬として目される存在はない。作曲という何よりステイタスの高い芸術分野を彼ほどに進化させた者はいない。そして彼はあらゆる分野において傑作を次々と生み出している。彼の才能は、世界的に見ても傑出しているというるのではないか!」(ロンドン楽友協会 1848年5月8日)

すごいですよね。ヨーロッパ中で知られた大作曲家だったのです。ブラームスは彼を古典派最後の巨匠として高く評価していました。

さて、そんなシュポアの「ピアノ作品」については、どうでしょう。彼はヴァイオリンの名手ではありましたが、ピアノの技術は「基本はできているが技巧派でも大演奏家でもない」と自負しています。ピアノが含まれる室内楽を作曲する際にはフンメルに多くの助言を求めています。それでも後期になるにつれ、ピアノを含む楽曲は増えていきます。5曲あるピアノ三重奏曲はすべて1840年代以降です。

ピアノソナタは1843年に書かれました。

ここではシュポアによくある「くど過ぎる半音階と主題の繰り返し」は影をひそめ、自由、気まま、流れ、遊びを感じられます。
これはロマン派の音楽であり、フランスの印象派の雰囲気もあり、でもショパンでもメンデルスゾーンでも、モーツァルトでもありません。

口ずさめるような(ヒット曲のような)メジャー感もありません。佳曲なんです。

でも、こうした曲を聴ける時代に生きている自分は恵まれていますね。

ご興味のある方は、ハイペリオンのリリースページに詳細な解説と試聴データがありますので是非。

ちなみにカップリングは、同期生のオンスロウの作品。オンスロウのソナタは初期の作品ですので、時代的な感覚ではより古典に戻った感が感じられます。いずれ詳しく。


034571179476Howard Shelley (piano)
Louis Spohr (1784-1859)
Piano Sonata in A flat major Op 125
Rondoletto in G major Op 149

George Onslow (1784-1853)
Piano Sonata in C minor Op 2
Six Pieces
Toccata in C major Op 6

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フンメル研究ノートというサイトは、クラシック音楽鑑賞を趣味とする一個人が、ヨハン・ネポムク・フンメルの音楽の魅力に取り付かれ、永年かけて収集した情報・データをメモ代わりに掲載している「フンメル研究ノート」のレビューページにあたります。フンメル研究ノートは、あくまでもCD解説、書籍、辞書などから集めた情報を盛り込んだ継ぎはぎの情報を集めたものですので、事実とは違っていたり、解釈が違っている箇所も多いと感じていますが、もっと多くの日本人にフンメルの音楽の魅力を知ってもらいたいと思い公開しています。もっとフンメルの情報が知りたい。またはご興味がある方は、本サイト「フンメル研究ノート」を覗いてみてください。よろしくお願いいたします。

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