さて、フンメルとピアノ奏法について-5で紹介した本で、ピアノという楽器について学ぶと、ピアノが独奏楽器として独立したのは、18世紀も後半に入ってからであることがわかる。この時期から新しい楽器の音に魅せられた音楽家たちの創作活動が活発になり、同時に作曲家たちはまだ不完全である当時のピアノに対して、音量、音色、音域、演奏法などを柔軟に駆使し、可能性を求めていき、またピアノ製作者たちもその改良に努めていった。モーツァルトの文献、特にシュタイン製ピアノについて言及した手紙にはその辺りが良く理解できて面白い。


ウイーン式ピアノ

 フンメルの時代もピアノはま゛進化を続けていた。当時はイギリス式とウイーン式の2つの主流があったようで、フンメルはウイーン式のピアノを愛用していたが、彼の最初期のソナタ(Op.2a-3、1792年)のピアノの音域は5オクターブ(FF-f3)であり、モーツアルトのピアノ曲の音域とと一致している。
 フレームは木製で金属製に比べると強度の問題で弦は細く、ハンマーも小さく、柔らかい皮で覆われていた。一方ダンパーは最高音までつけられていたため、アーティキュレーションが非常に明瞭であった。そのため陰影、変化に富んだメロディー、細部の装飾の表現に優れていた。
 現代で言うペダルはなく、膝レバー(モーツァルトのヴァルター製ピアノも膝レバーがついていた)でダンパーを操作した。アクションも軽く、反応もすばやく、直接的だった。

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