ツェルニーの証言を紹介したが、彼はフンメルのことを「20歳をいくらか過ぎた年齢」としていたが、ちょうどその証言に出てくる1804年はフンメルの就職の年に当たり、歳は26歳である。
 
 大規模なツアーを終え、いくつかの作品も出版し、将来有望...というよりピアニストとしては既にかなり有名になっていたフンメルは、1804年にハンガリーの大貴族エステルハージ公爵家の楽長に就任し、ウイーンから同公爵家本拠地のアイゼンシュタットに移った。ここの楽団はかつてJ.ハイドンが長年手塩にかけて育ててきたのであるが、先代の当主が亡くなったときに一旦解散し、その後に縮小された形で再建されたのである。
 
 もちろん、ハイドンからオルガンや作曲を学んでいたフンメルがその才能を認められ、ハイドンの推薦を受けての就任だったという文献がある。また、この時に作曲されたフンメルの有名なトランペット協奏曲が公爵にいたく気に入られたのが採用の決め手だったといわれている。

 ここでフンメルは7年間にわたって活動し、室内楽、管や弦の協奏曲、大規模ミサ曲などの宗教曲を多数作曲したが、フンメルがハイドンの残した楽譜や財産を散逸させたとの疑いが掛けられ、当主と喧嘩別れの形で一旦辞めている。後にハイドン自らが「事実無根」だとして仲裁に入り、再びその職に就くが、父親の仕事やウイーンの貴族からの仕事に精を出しすぎているとかなんとか文句を言われ、結局は永くは続かなかった。

 フンメルはウイーンに戻ってフリーのピアノ教師、舞台作品や室内楽の作曲家として大いにもてはやされていたが、30歳代であるのにもかかわらずピアニストとしては舞台に立つことは控えめだった。これは、一説にはベートーヴェンの存在が関係するであろうと言われているが真偽の程が不明である。


(つづく)
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トランペット協奏曲のCDを紹介
Haydn, Hummel: Trumpet ConcertosHaydn, Hummel: Trumpet Concertos
販売元:EMI Classics
発売日:2008-08-06

多くの録音があるためどれを紹介するか迷いましたが
手に入りやすい盤を掲載します。
この曲はホ長調だが、現在の多くの録音は演奏しやすい変ホ長調に移調されたものが多く、古くはモーリス・アンドレの名盤も移調版です。 このCDも同じ。原典版は、Chadosのシェリー/ロンドン・モーツァルトプレイヤーズ盤で聞けます。