ショパンは独特な運指法を用いていたが、その中でも重要な考え方ひとつを紹介。

ピアノを弾くにあたり、各指の個性を尊重し、それを活かすということで、この考え方は彼の運指法全体のなかに貫かれている。この点についてショパンは次のように述べている。

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 「指の力を均等にするために、今まで無理な練習が随分行われてきた。指の力はそれぞれ違うのだから、その指に固有なタッチの魅力を損なわないほうが良く(損なってはいけないのは当然である)、逆にそれを充分活かすよう心がけるべきだ。指にはそれぞれの造りに応じた力が備わっている。親指は一番大きくて太く力強い、そして一番短くて動きの自由な指である。5の指(小指)は手のちょうど反対側にあり、3の指(中指)は中央にあって全体の支点となる。2の指(判読不能)の次に、4の指(薬指)は一番可憐で、3の指と靭帯で結ばれているが、この指を無理矢理に3の指から離そうとしている人もいる。そんなことは不可能だし、ありがたいことに意味がないのだ。指の数だけ音色も違うものである。すべては運指法の熟達にかかっている。フンメルはこの点について最も精通していた。
 このような考え方に基づいた運指法は難しいものではない。指の造りを利用しなければならないのだから、手の他の部分、つまり手首、前腕、腕もやはり使わなければならない。カルクブレンナーが主張するように、手首だけで演奏しようと思ってはならないのである。」

参考文献:「ショパンのピアニズム」加藤一郎著