いやはや、久々に良盤ゲットです!

古典派からロマン派のピアノ協奏曲を演奏・録音し続けているハワード・シェリーの演奏/指揮によるJ.L.ドゥセックのピアノ協奏曲集がリリースされました。



Dussek002Jan Ladislav Dussek (1760-1812)
Piano Concertos
Howard Shelley (piano), Ulster Orchestra, Howard Shelley (conductor)

シェリーは英シャンドスからモーツァルトやベートーヴェンというメジャーな作曲家のピアノ協奏曲集をリリースしており、特にOrchestra of Opera Northを指揮振りしているベートーヴェンの全集は素晴らしかったし、フンメルのピアノ協奏曲シリーズも貴重かつ名演奏だと言えます。

今回のリリースは同じ英国のハイペリオンで、このレーベルは「ロマンチックピアノ協奏曲シリーズ」と題して普段あまり聞くことのできない、また録音されていない作曲家たちの作品を精力的に世に出しています。そして、今回のドゥセックのピアノ協奏曲集は「古典派ピアノ協奏曲 1」とシリーズ化されていくものと思われます。


 
Dussek001ドゥセックはモーツァルトより4歳下で、モーツァルトの死から21年後の1812年に亡くなっていますので、時代的には完全に古典派ですが、彼は同時代人より遥かにロマン派に近い曲を多く書いています。というか、フンメルに似ているパッセージなどもあるのですが、明らかに独創的であり、他に真似ている人が見受けられない。実際は影響力があったのかもしれませんが、不明です。

当時は売れっ子作家・演奏家というよりも公人・貴族にもてはやされていた上流界に出入りしている作曲家、という印象を受けます。

ただし、ハイドンがロンドンでザロモンコンサートを開催している際に彼から絶賛されており、相当の実力者であったに違いありません。詳しくはwikiを参照してください。

彼のピアノ協奏曲は18曲の上るそうですが、これまで聞ける範囲では、ピアノ独奏曲やピアノ五重奏などに比べると古典派的であると言えます。

一方でト短調,Op.49など、次世代のロマン派ヴァルトォーゾ時代の作品そのものと言えるような曲もあります。

これまでリリースされているのは、ヘ長調,Op.17、変ロ長調,Op.22、ヘ長調,Op.27、変ロ長調「軍隊的」,Op.40、ト短調,Op.49、2台用変ロ長調,Op.63でした。
 
今盤にてト長調,Op.1-3、ハ長調,Op.29、変ホ長調,Op.70が加わることとなり、9曲のピアノ協奏曲を聴けることとなりました。改めていい時代です。
 

さて、今回収録されているト長調,Op.1-3は1783年頃の作曲。モーツァルトのウイーン時代前半の名作群、ピアノ協奏曲第14番〜19番と同時期です。
 
ハ長調,Op.29はモーツァルトの死後1795年の作品。クラーマーの第1番〜2番、フィールドの第1番と同時期です。
最後の変ホ長調,Op.70はベートーヴェンの第4番、第5番「皇帝」のほぼ同時期の作品となります。

三作品とも小編成でありますが、その表現力は劇的に変化・進化しており、大いに楽しめました。

 
何よりもシェリーの軽快・明朗なピアノとアルスター管弦楽団の響きはとても活き活きとしており、聞いていて心が晴々していくような感覚を受けました。

技術的な事は解説できませんが、モーツァルトやベーとヴェンと同時代人の優秀な曲と演奏を聴かせていただきました。こんなに買ってよかったと思わせたCDは久々でした。